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 「じゃあその五十三分をどうするの」
 「したいことをすればいいのさ. . . 」
 ( ぼくなら ) ちいさな王子は思った。( 五十三分あれば、水飲み場の方へゆっくり歩いていくのに. . . )


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 砂漠で飛行機が故障してから八日目だった。たくわえていた水の最後の一滴を飲みながら、ぼくはその商人の話を聞いていた。
 「ああ!」 ぼくはちいさな王子に言った。「とてもすてきだね、きみの思い出は。でもぼくの飛行機はまだ修理ができてないし、飲み水は全然ないんだ。だからぼくも同じように、水飲み場の方へゆっくり歩いていけたら、うれしいんだけどなあ!」
 「ぼくの友だちのキツネはね. . .」 かれはぼくに言った。
 「あのね、ぼうや、もうキツネどころじゃないんだよ!」
 「どうして?」
 「どうしてって、のどが渇いてもうすぐ死ぬんだから. . . 」
 かれはぼくの理屈を理解しないで、ぼくに答えた。
 「友だちをもったことはいいことなんだ、たとえもうすぐ死ぬにしても。ぼくはといえば、キツネと友だちになって、ほんとによかった. . . 」
 ( かれは危険がわからないんだ ) ぼくは思った。( かれ
は決して飢えたり、のどが渇いたりしない。かれにはすこしの日の光があれば充分なんだ. . . )

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