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かれはじっと見てから言った。
「だめ!これはもう重い病気にかかってる。ほかのをかいて」
それでぼくは描いた。
ぼくの友だちはしょうがないなという感じで、かわいらしくほほえんだ。
「わかるよね. . . これはぼくの言う羊じゃなくて、雄羊だよ。角があるもの. . . 」
そこでぼくはまた描きなおした。
しかしそれも前の絵と同じように断られた。
「これは年をとりすぎだな。ぼくは長生きしてくれる羊がほしいんだ」
そのころぼくはエンジンの分解を始めようと急いでいたし、忍耐もなくなってきたので、こんな絵を描きなぐった。
そして強く言った。
「これは箱だ。きみのほしい羊はなかにいる」
2016-10-02 04:45