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 「決め事ってなに?」 ちいさな王子は言った。
 「これもあまりに忘れられていることだよ」 キツネは言った。「それは、ある日をほかの日と、ある時間をほかの時間と違ったものにすることさ。たとえば猟師たちのところには決め事がある。かれらは木曜日に村の娘たちとダンスをする。それで木曜日はすばらしい日になるんだ! おれはブドウ畑まで散歩にいく。もし猟師たちがいつと決めないでダンスをすると、毎日がみんな同じようになって、おれには休みがぜんぜんなくなってしまうんだ」

 こうしてちいさな王子はキツネをなつかせた。そして別れのときが近づいた。
 「ああ!」 キツネは言った。「おれ、泣いちゃうよ. . . 」
 「きみのせいだよ」 ちいさな王子は言った。「ぼくはきみを悪いようにしようなんて、ぜんぜん思ってなかったよ。きみがなつかせてくれって、ぼくに望んだんだ. . . 」
 「そうだよ」 キツネは言った。
 「でもきみ、泣きそうだね!」 ちいさな王子は言った。
 「そうだよ」 キツネは言った。
 「それじゃ、きみはなにもいいことなかったね!」
 「いいことあったよ」 キツネは言った。「小麦の色のおかげでね」
 それからキツネはつけ加えた。

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