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 ビジネスマンは口をひらいたが、返事がぜんぜん見つからなかった。そこでちいさな王子は立ち去った。
 ( 大人って確かに、まったく奇妙だ ) かれは旅を続けながら、ただそう思った。


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 五番目の星はとても変わっていた。それはすべての星のなかで一番小さかった。そこは一本の街灯とひとりの点灯人のための場所しかなかった。天体のどこかの、家も住人もいない星で、街灯と点灯人がなんの役にたつのか、ちいさな王子にはなかなかわからなかった。それでもかれは考えた。
 ( きっとこの人もわけがわからない人かもしれない。でもかれは王さまやうぬぼれ屋やビジネスマンや酒飲みより、わけがわからないことはない。少なくともかれの仕事には意味がある。かれが街灯をともすと、星をさらにひとつ、花をさらに一輪、かれが生みだすようなものだ。かれが街灯を消すと、花や星は眠るんだ。これはとてもすてきな仕事だね。すてきだから、ほんとうに役にたっているんだ )

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