50
「でもこの星には、あなたしかいないよ!」
「あの楽しみをしておくれ。それでも敬服しておくれ!」
「敬服するよ」 両肩をちょっとすくめて、ちいさな王子は言った。「でもそれがどうしてそんなに大事なの?」
そして、ちいさな王子は立ち去った。
( 大人って確かに変だ ) かれは旅を続けながら、ただそう思った。
12
次の星には、酒飲みが住んでいた。その訪問はとても短かったが、ちいさな王子は大きな憂鬱をかかえてしまった。
「そこでなにをしてるの?」 酒飲みに聞いた。かれはたくさんの空のビンとたくさんの酒のはいったビンの前で、黙ってすわっていた。
「酒を飲んでるんだ」 酒飲みが沈痛な雰囲気で答えた。
「どうして酒を飲んでるの?」 ちいさな王子はたずねた。
「忘れるためだ」 酒飲みは答えた。
「なにを忘れるためなの?」 ちいさな王子はたずねた。もうかれを哀れんでいた。
「恥ずかしさを忘れるためだ」 酒飲みはうつむきながら打ちあけた。
「なにが恥ずかしいの?」 ちいさな王子はかれを助けたいと思ってたずねた。
「あの楽しみをしておくれ。それでも敬服しておくれ!」
「敬服するよ」 両肩をちょっとすくめて、ちいさな王子は言った。「でもそれがどうしてそんなに大事なの?」
そして、ちいさな王子は立ち去った。
( 大人って確かに変だ ) かれは旅を続けながら、ただそう思った。
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次の星には、酒飲みが住んでいた。その訪問はとても短かったが、ちいさな王子は大きな憂鬱をかかえてしまった。
「そこでなにをしてるの?」 酒飲みに聞いた。かれはたくさんの空のビンとたくさんの酒のはいったビンの前で、黙ってすわっていた。
「酒を飲んでるんだ」 酒飲みが沈痛な雰囲気で答えた。
「どうして酒を飲んでるの?」 ちいさな王子はたずねた。
「忘れるためだ」 酒飲みは答えた。
「なにを忘れるためなの?」 ちいさな王子はたずねた。もうかれを哀れんでいた。
「恥ずかしさを忘れるためだ」 酒飲みはうつむきながら打ちあけた。
「なにが恥ずかしいの?」 ちいさな王子はかれを助けたいと思ってたずねた。
2016-10-01 20:29