59
かれがその星に着くと、点灯人に敬意をこめてあいさつした。
「おはよう。どうしていま街灯を消したの?」
「指示なんだよ」 点灯人は答えた。「おはよう」
「指示ってなに?」
「街灯を消すことだよ。こんばんは」
そしてかれは街灯を再びともした。
「でも、どうしていまそれを再びともしたの?」
「指示なんだよ」 点灯人は答えた。
「ぼくは理解できない」 ちいさな王子は言った。
「理解できなくていい」 点灯人は言った。「指示は指示なんだ。おはよう」
そしてかれは街灯を消した。
それからかれは赤いチェックのハンカチでひたいをふいた。
「ひどい仕事なんだよ。以前はもっとましだった。朝に消して、晩にともす。昼は休みがあったし、夜も眠れた. . . 」
「じゃ、そのあと指示が変わったの?」
「指示は変わっていない」 点灯人は言った。「悲劇はそこにあるんだ! この星は年々ますます速く回っているのに、指示は変わっていない!」
「それで?」 ちいさな王子は言った。
「それで、いまこの星は一分間に一回転する。わたしには一秒も休みがない。一分ごとにともしたり消したりするんだ!」
「おはよう。どうしていま街灯を消したの?」
「指示なんだよ」 点灯人は答えた。「おはよう」
「指示ってなに?」
「街灯を消すことだよ。こんばんは」
そしてかれは街灯を再びともした。
「でも、どうしていまそれを再びともしたの?」
「指示なんだよ」 点灯人は答えた。
「ぼくは理解できない」 ちいさな王子は言った。
「理解できなくていい」 点灯人は言った。「指示は指示なんだ。おはよう」
そしてかれは街灯を消した。
それからかれは赤いチェックのハンカチでひたいをふいた。
「ひどい仕事なんだよ。以前はもっとましだった。朝に消して、晩にともす。昼は休みがあったし、夜も眠れた. . . 」
「じゃ、そのあと指示が変わったの?」
「指示は変わっていない」 点灯人は言った。「悲劇はそこにあるんだ! この星は年々ますます速く回っているのに、指示は変わっていない!」
「それで?」 ちいさな王子は言った。
「それで、いまこの星は一分間に一回転する。わたしには一秒も休みがない。一分ごとにともしたり消したりするんだ!」
2016-10-01 20:23