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 「それは陛下でしょう」 ちいさな王子はしっかり言った。
 「そのとおり。それぞれができることを、それぞれに要求しなければならない」 王さまはつづけた。「権威というものは、まず道理に基づいている。もしおまえが国民に、海に身を投げよと命じたら、革命になる。わしの命令が道理に基づいているから、わしには服従を求める権利があるのじゃ」
 「ところで、お願いした夕日は?」 ちいさな王子はかさねて言った。かれは一度質問したら決して忘れなかった。
 「おまえの言った夕日は、見せよう。わしがそれを要求しよう。しかしわしは統治するコツを重視するからのう。だから状況がよくなるまで待とう」
 「それはいつになりますか?」 ちいさな王子はたずねた。
 「さて!さて!」 王さまはかれに答えた。そしてまず大きな暦を調べた。「さて!さて! それは. . . だいたい. . . だいたい. . . 今晩の七時四十分ころじゃ! そのときどんなにわしの命令がよく守られているか、おまえにもわかるじゃろう」
 ちいさな王子はあくびした。かれは夕日を見そこなって残念だった。それにちょっともう退屈してきた。
 「ぼくはここでなにもすることがありません」 かれは王さまに言った。「また出発します!」
 「出発はならぬ」 王さまは答えた。臣民をもてて自慢だったのだ。「出発はならぬ。きみを大臣にしてやろう!」

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