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それほどきっちりお化粧した花は、あくびをしながら言った。
「あー! 目がさめたばかりよ. . . ごめんなさい. . .
まだ、髪がとても乱れてて. . . 」
ちいさな王子はそのとき感心して、ほめないわけにはいかなかった。
「なんてきれいなんだろう!」
「でしょう」 花はゆっくり答えた。
「それにわたくし、お日さまといっしょに生まれましたの. . . 」
ちいさな王子は花があまりひかえめでないことを見ぬいた。でも感動するほどきれいだった!
「朝食のお時間ですわね」 花はまもなくつけ加えた。「わたくしのこと、考えていただけますでしょうか. . . 」
ちいさな王子はすっかり恐縮して、冷たい水がはいったじょうろを取りにいってから、花にかけてあげた。
そういうわけで、気分を害しやすく見栄をはりたがる花の性格によって、すぐに花はかれを苦しめていた。たとえばある日、花は自分の四つのトゲについて話しながら、ちいさな王子に言った。
「爪のある虎がきても平気よ!」
2016-10-01 20:39