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 「四十四回も見た日は、とっても悲しかったんだね?」
 しかし、ちいさな王子は答えなかった。


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 五日目に、また羊のおかげで、ちいさな王子の生活の秘密が明らかになった。かれは黙って長いあいだ問題を考えぬいた後のように、前置きもなく、いきなりぼくにたずねた。
 「羊は、小さい木を食べるなら、花も食べるの?」
 「羊は目にとまったものは、なんでも食べるよ」
 「とげのある花でも?」
 「そう。とげのある花でも」
 「じゃあ、とげはなんの役にたつの?」
 そんなことは知らなかった。そのときぼくは、あまりに固くしまったエンジンのボルトをはずすために大忙しだった。故障がきわめて深刻だということがわかってきたので、ぼくはとても気がかりだったし、飲み水も底をつきかけていたので、最悪の事態になることをとても恐れていた。
 「とげはなんの役にたつの?」
 ちいさな王子は一度質問したら、答えを聞くまで決してあきらめなかった。ぼくはボルトにいらいらしていたので、投げやりに答えた。
 「とげはね、なんの役にもたたないよ。花がかってに意地悪しているだけさ!」

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