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 「夕方、あなたは、わたくしに、ガラスのおおいをかぶせてくださいな。あなたのところって、とても寒いのね。設備が悪いんだわ。わたくしの出身地では. . . 」
 しかし花は口をつぐんでしまった。種の形で飛んできたのだから、ほかの世界をぜんぜん知ることができなかったんだ。そんな単純なうそをつこうとしたことに驚き、恥ずかしくなった花は、悪いのはちいさな王子の方だとするために二、三度咳払いした。
 「あのついたては? . . . 」
 「それを取りにいこうとしてたけど、あなたがぼくに話しかけたから!」
 そのとき花はやはりかれを後悔させるために、わざと咳払いした。

 そういうわけでちいさな王子は、恋しい気持ちとはうらはらに、すぐに花を疑うようになってしまった。かれはたいしたことでもない言葉をまじめに受けとって、とても不幸になってしまった。
 「あの花の言うことを聞くべきじゃなかったんだ」かれはある日ぼくに打ちあけた。「花の言うことを決して聞いちゃいけない。花はながめたり香りをかぐべきものなんだ。ぼくの花はぼくの星をいい香りでつつんでいたけど、ぼくはその香りを楽しむことができなかった。ぼくをとてもいらいらさせたあの爪の話も、ぼくを感動させるはずだったのかもしれない. . . 」

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