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 そのとききみは友だちに言うんだ。『そうだよ。ぼくは星を見るといつも笑うんだ!』 するとかれらは、きみの頭がおかしくなったと思うよ。ぼくはきみに、ひどいいたずらをしたことになるよね. . . 」
 そしてかれはまた笑った。
 「それは星たちのかわりに、ちいさな笑う鈴をいっぱいきみにあげたみたいだね. . . 」
 そしてかれはまた笑った。それからかれは真顔にもどった。
 「今夜. . . ねえ. . . こないで」
 「きみを離れないよ」
 「ぼく、病人みたいになる. . . すこし死んでいくようになる. . . そういうものさ。そんなの見にこないで。こなくていいから. . . 」
 「きみを離れないよ」
 でも王子は気にかけていた。
 「ぼくがこう言うのはね. . . ヘビのせいでもあるんだ。きみがヘビにかまれちゃいけないから. . . ヘビはあぶない。面白がってかむかもしれないんだ. . . 」
 「きみを離れないよ」
 しかしなにかしら、王子は安心した。
 「二度目にかむときは、ヘビには毒がもうないんだ. . . 」

 その夜、ぼくはかれが出ていくのに気づかなかった。かれはそっとぬけ出していた。ぼくがうまくかれに追いついたとき、かれは決心した様子で、足早に歩いていた。かれはぼくにただ言った。

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